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特集コラム 第37回:ご近所獣医師田邊弘子の「犬あれこれ」「私の苦い思い出から」

中学生の頃、ご近所に熊五郎という名の犬が飼われていました。秋田犬ミックスで、その名の通り、大きく熊のような犬でした。性格は温厚で、脳梗塞で倒れたご主人のリハビリ散歩におとなしく寄り添ってお供をする姿をよく見かけました。当時、私の家で飼っていた犬たちはよく吠えるし、散歩に行けば勝手に突っ走る、気に入らなければ噛みつく…。こうしたところから、私は熊五郎のことがとてもうらやましくてなりませんでした。

しつけ、それは人と犬との共通ルール

しつけというと、人が犬に一方的に物事を教え込むことと思いがちですが、私は −しつけは芸を教える調教や泥棒に向かうような訓練とは違い、人と犬という種の違う動物がともに穏やかに、楽しく生活していけるようお互いに共通のルールを身につけること― だと考えます。
いま思えば、私の家のしつけの失敗は、まず父が犬嫌いで、母も仕事をし、私自身も高校生で家にいる時間が少なく、家族が犬と触れ合う時間が極端に少なかったことにあったかと思います。犬嫌いだった父も含めて、いったん犬を飼うことにした以上は、家族全員が犬がいる暮らしを受け入れることが大切だったと思います。
仕事や学校といろいろ忙しくても、犬と関わる時間を作るべきだったと思うのです。
この犬は噛みつく、よく吠える、散歩が嫌い…で済ませてしまうのではなく、「なぜ咬むのか、なぜ散歩に行きたがらないのか」の理由を考えてあげることが必要だったと、いまでは思います。問題行動には、その理由があります。時には、譲歩が必要なこともあります。必要なのは、しつけという共通ルールをもって一緒に暮らしていくことではないでしょうか。

譲歩はけして犬を甘やかすことではありません。犬がしつけをスムーズに受け入れられるような信頼関係を構築するために、飼い主さんの時間と労力を犬のために使うということです。毎日忙しく、そうそう犬のためにばかり時間をかけてはいられないかもしれません。しかしライフスタイルに合わせて、短くても密度の濃い時間を一緒に過ごすことは出来ると思います。  あなたとあなたの愛犬との生活をより楽しくするために、ぜひ一度考えてみてください。

田邊弘子
日本大学卒業。動物病院での勤務を経て、現在ダイレクトワンの明るい相談窓口として活躍中。犬の食事やしつけに関して一般の人にわかりやすく伝えようとこのコーナーを担当することに。「みなさんと同じ目線でワンちゃんと楽しく暮らせる情報をお届けします」と意気込みを語る。

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