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ご近所獣医師田邊弘子のよもやま話 第3話「初めての飼育、本当にこれでいいのかしら?」

子供の部活動を通して仲良くなったママ友さんたちと、かなり遅めの新年会がありました。その日は昼間、情報誌Pocco製作の関係でワンちゃんのしつけ教室にお邪魔していたので、「今日は、犬のしつけ教室で外にいたから、足が痛いわ」と、無意識のうちにひとりごとが出てしまいました。すると、隣に座っていたМさんが耳敏く聞きつけ「しつけ教室行ったの?」と聞いてきました。

その疑問は正しい!

「行ったのよ、一日仕事だったわ」
「そうなの、ワンちゃん何歳?」
「もうすぐ9歳だけど」
「そうなんだ、9歳でも行くのね・・・」
うちの犬のしつけのために行ったわけではないのですが、ここでそれを訂正しても、話の腰を折るだけなので、そのまま話を聞くことに。
彼女はため息をつきながら、「うちの子、もうすぐ2歳になるんだけど、やっぱりしつけ教室に入れた方がいいのかなぁ。でも、費用が掛かるでしょ。だけど、これからあと15年は生きると思うと、やっぱりお金かけてでもちゃんとしつけした方がいいよね・・・」
酔いも加わってか、彼女の頭の中には、愛犬のことについての悩みがぐるぐる回っているようでした。
「私、一生のうちで初めて犬を飼うことになったの、何もわからないから、本を買って勉強したんだけど、なんかうちの子違うのよぉ」

暴君、暴君を育てる

彼女曰く、初めの頃は食事は自分のハウスで食べていたけど、今では家族が食事をしている食卓にフードボウルを持って来てあげなければドッグフードを食べなくなってしまい、そればかりかひとの食べ物を欲しがる、するとご主人が自分の皿から取り分けて食べさせてしまい、それを彼女が注意すると、今度はご主人食べ物を落としたふりまでしてこっそり食べさせてしまうんだそうです。
「夫は、実家で犬を飼っていたことがあるので、『これで、いいんだ』って言うの。本当にいいのかなぁ」
家庭犬の飼育においては、ものすごく有りがちなことですが、決していいことではありません。
さらに彼女は声を潜めて話を続け「近所に小さな公園があるんだけど、これはあまり大きな声で言えないんだけど、夜中、他に人が居ないときに夫がリードを外して遊ばせるの、走り出したらもうアタシじゃ絶対捕まえられないのよ。だから、夫に『捕まえられないから、オフリードにするのは止めよう』って言ったら、夫がなんて言ったと思う『俺は走って捕まえられるもん』だって、頭に来ちゃう」

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しつけが守る愛犬の安全

家族の中で、愛犬のしつけに対する考えに温度差があるというのはどこのお宅でも多少はあることだと思いますが、こちらのご主人、なかなか手ごわいですねぇ。
Мさんのお宅のように『待て』と『おいで』すら教えていないと、愛犬が玄関の隙間から外に出てしまった場合など、交通事故などの大きな事故につながりかねません。さらに、飼い主さんが捕まえる際、追い駆け回していると『おいで』が遊びに入れ替わっていることになりますので、『飼い主さんが捕まえに来たぞ! さあ追い駆けっこだぁ』となり、走ってくる自動車なんか愛犬の眼中になくなり、さらに危険度が上がってしまいます。『外に出られた、わぁ嬉しい!』と興奮状態でも、『待て』『おいで』と言われれば、離れていても『待て』で安全な場所で待たせ、自動車が来ないのを確認して『おいで』で飼い主さんの元に来させる、そのように行動できるようにして愛犬の危険を回避するといったことがしつけの目的のひとつなのです。
しつけは家族一致の意識のもとで行うことがもちろんベストですが、Мさんのお宅のような場合、ご主人の説得に労力を使って疲れてしまう前に、奥さんがまず根気よく愛犬のしつけを始めるべきと考えます。

しつけは愛犬に窮屈な生活を強要することではありません。愛犬に安全で快適な生活を送らせるために必要不可欠な教育なのです。『しつけなんて(笑)』と思っている皆さん、ここの点をよーくご理解くださいね!

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田邊弘子
日本大学卒業。動物病院での勤務を経て、現在ダイレクトワンの明るい相談窓口として活躍中。犬の食事やしつけに関して一般の人にわかりやすく伝えようとこのコーナーを担当することに。「みなさんと同じ目線でワンちゃんと楽しく暮らせる情報をお届けします」と意気込みを語る。

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