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ご近所獣医師田邊弘子のよもやま話 第10話 多いことはいいこと?

犬好きであれば、たくさんのワンちゃんに囲まれて暮らしてみたい、そう思うもの。ただし、2匹以上のワンちゃんを飼うのは、1匹で飼うのとは勝手が大分変わってきます。

私が住んでいる地域は、犬を飼っている方がたくさんいます。
2匹・3匹連れて散歩している飼い主さんも少なくありません。複数のワンちゃんの場合、小型犬のことが多いですが、大型犬を複数連れている飼い主さんも何人か見かけます。中には、小型犬から中型犬を取り混ぜて5匹?6匹?(連れている数が多くて、パッと見ただけでは何匹いるのか分からないんです。もしかしたら7匹かも???)のワンちゃんを連れて散歩している飼い主さんがいます。その中の若い中型犬がとっても元気で自分の関心の向く所に行きたがるので他の犬たちはそれに連れられて右往左往。この飼い主さんの場合は、犬を連れての散歩というより、犬に連れられての散歩といった感じです。道ですれ違うたびに、大変そうだなぁと後姿を見送っています。

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さすがに、5匹も6匹も飼うのでは大変だろうけど、もう1匹くらい飼ってみようかなと思っている飼い主さん、いらっしゃることと思います。でも、ワンちゃんの数を増やしてみたいと思っている理由が、飼育の手間の引き算・割り算を期待しているのでしたら、今はワンちゃんを増やす時期ではないかもしれません。

ワンちゃんを増やしてみようと 思う理由

【その1】
遊んであげる時間や散歩に連れて行く時間がない、なのでもう1匹犬を飼って、犬同士で遊んで欲しい。

ワンちゃんは常に飼い主さんとの関係を持ちたいと望んでいます。新しく来たワンちゃんと仲良く遊ぶようになったとしても、飼い主さんが遊んであげないで済むというわけにはいきません。また、犬同士が遊ぶことと散歩は犬にとって全く別のストレス発散です、散歩に連れて行かなくても済むようにもなりません。もちろん、ワンちゃんだけで散歩に行くことは、何匹飼ったところで絶対できることではないのは言うまでもありません。

【その2】
1匹で留守番させるのが、かわいそう。2匹なら寂しくないんじゃないか。

1匹で留守番をさせているのがかわいそうと考えた理由が、留守番中の問題行動(例えば、留守中に部屋の中を荒らしてしまう、吠え続ける、飼い主さんの衣類を食べてしまう、体のどこかを毛が抜けるほど舐めてしまう、などなど)だった場合、原因をきちんと突き止めて飼い主さんがその対応をしなければ、解決は望めません。そもそもの原因がある所に新しい犬を飼い始めたとしても、そのワンちゃんが同じ問題行動を起こす可能性を増やすだけのことです。
また、今、問題なくお留守番ができているのに、『寂しいんじゃないか?』と飼い主さんが疑心暗鬼になって、新たにワンちゃんを迎え入れたとします。もし2匹の仲が悪ければ、それがストレスになって留守番中の犬同士のトラブルが起きてしまいます。

【その3】
この子は、どうも犬が苦手のようだから、新しく犬を迎え入れて、犬に慣らそう。

早い時期に親犬や兄弟犬(同腹犬)から離された犬は、社会化が十分できず、他の犬と上手く関われないことがあります。ただ、犬が自然に社会化するのはある程度の月齢までで、その時期を過ぎてしまうと、他の犬と一緒にしたからといって、飼い主さんがそれなりの訓練をすることなしに、元から飼っていた犬が犬との関わりを学ぶことは期待できません。

もう1匹ワンちゃんを増やしてみようかな、と思ったら、飼育の手間は足し算・掛け算でシミュレーションしてみてください。例えば、一緒に連れて行けばいいんだから手間は増えないと思いがちな散歩も、それぞれの犬を満足させるには、(毎回とはいかなくても)別々に連れて行くことが必要になる場合があります。今、何か問題を抱えている場合、新しく犬を飼っても何の問題解決になりません。まずは今の問題を解決してから、新しいワンちゃんを迎え入れましょう。

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田邊弘子
日本大学卒業。動物病院での勤務を経て、現在ダイレクトワンの明るい相談窓口として活躍中。犬の食事やしつけに関して一般の人にわかりやすく伝えようとこのコーナーを担当することに。「みなさんと同じ目線でワンちゃんと楽しく暮らせる情報をお届けします」と意気込みを語る。

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