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ご近所獣医師田邊弘子のよもやま話 第11話 一緒に楽しむ

愛犬の世話を一生懸命しているのに、愛犬の反応はイマイチ。世話をすればするほど、空回り。犬の飼育の義務感ばかりが募ってしまい疲れてしまう。そんな悩みを抱えていませんか。

私は、夕食後に、犬の散歩に出かけるのが日課になっています。散歩の途中、ひとりでウォーキングやジョギングをしている女性とすれ違うことが結構あります。その度に、夜道はあまり得意ではない私は、『犬も連れずにこんな夜道を女性ひとりで出歩けるなんてすごいなぁ』と感心してしまいます。
夜道といっても、街灯の明るい住宅街で、九時台くらいなら人通りもそこそこある場所です。物騒ということはないんですけど、ただ、小規模の墓地が点在しているので怖がりの私にはそんな場所を夜ひとりで歩くなんて無理なのです。でも、犬がいれば、怖さなんか全然感じることなく、夜気や星空を楽しむ余裕まで持って散歩に行くことができます。
犬を頼りにして出かける様子を家族には「犬を散歩に連れて行くというより、お母さんのウォーキングに犬が付き合っているってかんじだね」とからかわれます。犬はといえば、『役目を果たした!』と言わんばかりの得意顔をしています。

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しかし、飼い主さんの中には、犬さえいれば『幸せ!』な、はずだったのに、愛犬に「あれもしてあげたい」「これもしてあげたい」と張り切っているうちに、次第にそれらが『しなければならない』という義務となってしまい、犬の飼育自体を重荷に感じてしまう方がいます。

一生続く愛犬の世話

ワンちゃんが自分自身の日常生活のあれこれ、例えば食事や散歩、ブラッシングやシャンプーといった身繕いや、動物病院にフィラリアの薬を貰い行くなどを、自分でするようには絶対になりません。
時代を遡れば、犬は繋がれることもなく、排泄も好きなところで済ませ、飼い主さんから貰う餌で足りない分は自分で自主的に栄養補給し、運動したいときにはただ歩き回るだけではなく狸などを追い回すといった生活ができたかもしれませんが、動物愛護管理法や都道府県などの条例に基づき犬の放し飼いが原則禁止されている現在では、ワンちゃんが自主的に行って完結するのは、吠えて泥棒を追い払うことぐらいでしょうか。それにしても、もしも泥棒でなかった場合は、吠えるのをやめさせるのに飼い主さんは働きかけなければなりません。
つまり、現代ではワンちゃんの生涯に渡って、生活全般について飼い主さんが面倒見なければならないのです。

義務感だけでは続かない

犬の寿命は10年から15年、20年以上の長生きさんも珍しくありません。そんな長きに渡って、飼い主さんは愛犬と密接に関わることが必要となるわけなので、義務感だけでその関係を維持していこうとすれば、早晩破綻するのは予想に難くありません。
飼い主さんから愛犬へ一方通行に働きかけるばかりというのは、実は、愛犬との関わり方が分からないということと表裏をなしています。愛犬に良かれといろいろしてあげても、それが機械の整備のようなマニュアル通りの作業であると、ワンちゃんの反応は今ひとつぱっとしないかもしれません。その反応に不安になってさらにマニュアル通りの作業で対応する、これでは悪循環です。

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大切なのは楽しむこと

愛犬と関わるとき何が大切な(何を意識したらいい)のでしょう。それは愛犬と関わることを飼い主さんがまず楽しむことです。 散歩にしても『散歩に連れて行かなきゃ』と面倒くさそうに連れて行くのではなく、飼い主さんご自身が散歩を楽しみに出かけましょう。そうすることで、散歩を楽しみしていたワンちゃんはさらに楽しい気持ちになることでしょう。楽しさを共有することで、愛犬と飼い主さんの関係は深まっていきます。
散歩のようにそもそも愛犬が大好きなことなら一緒に楽しみやすいけど、例えば爪切りとか愛犬が嫌いなことをするときにはどうするの?と疑問に思うかもしれません。それにしても、「爪を切ることはあなたの健康と安全に役立つ素敵なことなのよ」と飼い主さんが楽しむ気持ちで対応するのです。(愛犬との生活を楽しむというのは、愛犬が喜ぶからと、むやみやたらとおやつを与えることとは違います。それは単に、おやつでお茶を濁しているだけですよ。)
愛犬を疎ましく思う気持ちは、そのまま愛犬から跳ね返ってきます。根気のいること面倒なことをするときこそ『愛犬といられて幸せ』と感じてください。

飼い主さんが「この子が我が家に来てくれてよかった」と感じ、また、愛犬が家族の一員として、幸せな生涯を送ることができるように、飼い主さんご自身が愛犬との関わりをまず楽しんでください。

田邊弘子
日本大学卒業。動物病院での勤務を経て、現在ダイレクトワンの明るい相談窓口として活躍中。犬の食事やしつけに関して一般の人にわかりやすく伝えようとこのコーナーを担当することに。「みなさんと同じ目線でワンちゃんと楽しく暮らせる情報をお届けします」と意気込みを語る。

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