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ご近所獣医師田邊弘子のよもやま話 第15話 うちの子、人を見る!?

せっかくしつけ教室に通っているのに、なぜかうちの子全然言うことを聞いてくれない。これってどうしてなの、と腹を立てている飼い主さんはいませんか?

しつけ教室に愛犬と通う知人が、「うちの子、訓練士さんの言うことはよく聞くのに、私の言うことなんか『へっ』てな顔してちっとも聞かないのよ」と言います。知人はそれで特に困っているという様子でもないし、愛犬もテキパキとはいかなくても知人の指示には従います。先の発言は半分謙遜といったところでしょうか。
ただ、飼い主さんの中には、「うちの子は、訓練士さんの言うことは聞くけど、私の言うことは聞かない。あの子は人を見るのよ」と真剣に悩んでいる方も多いことでしょう。

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犬の本音

では、愛犬は「訓練士さんは怖いから言うこと聞かなきゃ」とか「飼い主さんはちょろいから、別に言うこと聞かなくてもいいや」と思って態度を変えているんでしょうか。もしも愛犬が言葉を話せたらきっとこう言うでしょう、「訓練士さんの言うことはよく分かるけど、飼い主さんの言うことはなんだか分からないんだよね」と。
人によって態度を変えているのでなく、訓練士さんの指示は的確なのに比べ、飼い主さんの指示は曖昧なので、一体何をすればいいのか分からないというのが愛犬の本音なのです。
それでは、しつけ教室で愛犬に通じる指示の出し方を修得する方法を伝授いたしましょう。

訓練士さんに丸投げ

飼い主さんの中には、訓練士さんに預けさえすれば愛犬が人の言葉を理解できるようになり、それのみならず人の社会のルールまで身につけてくると思っている(のではと見受けられる)方がいます。
愛犬のしつけにいくらお金をかけたとしても、飼い主さんご自身が犬の習性を理解してそれに即した対応を身につけなければ、愛犬との関係はいつまでたっても平行線です。愛犬のしつけ教室にはいろいろな種類がありますが、家庭犬のしつけなら愛犬と飼い主さんが一緒に学べる教室がお勧めです。特に犬を初めて飼う人にはまずここは外せません。

やりがちな失敗

飼い主さんも一緒に習っているのに上手くいかない場合、飼い主さんがやりがちな失敗として『指示する言葉だけに頼りすぎる』ということがあります。
例えば、「マテ」の練習で、訓練士さんが「マテ」と言ったとき愛犬がちゃんとマテができるようになったとします。続いて飼い主さんが「マテ」と言ったのに、あら不思議、愛犬はマテをしてくれません。しかしこのとき『この子、私の言うことは聞かないのね』と思うのは短慮に過ぎます。実は愛犬は「マテ」という言葉にだけ反応しているのではないのです。指示の出されるタイミングや指示を出す人の態度、リードの張りなど言葉以外の情報も感じ取っています。

訓練士さんの全てを盗む

しつけ教室で訓練士さんがまずお手本を示し、そして飼い主さんが実際にやってみるという形式のとき、一番大事なのは、『犬との関わり方は言葉だけではない』ということを頭に置いて、訓練士さんのお手本を細かい所まで観察し、言葉のトーンや声かけのタイミング、犬との位置関係などをしっかり把握することです。飼い主さんが自分でする番になったら、観察した内容を忠実に再現します。
自分でするときに教えてもらいながらやってみようと思っていると、どうしても愛犬とのタイミングが遅れてしまいます。また、そのように訓練士さんからの教えを気にしつつ愛犬に指示を出していると、飼い主さんの注意の向く方向が訓練士さんと愛犬の両方に分散しますので、愛犬としては飼い主さんが誰に向かって何をしたいのかよく分からなくなり混乱します。

力み過ぎには要注意

飼い主さんはちゃんとやっているつもりなのに、愛犬が思うように行動してくれないと、焦りからどんどん力ばかり強くなってきます。大声で怒鳴っても効果はありません、愛犬は耳が遠いわけではないのですから。訓練士さんが言っていたのと声のトーンや声量が違ってくると愛犬には別の言葉のように聞こえてしまいます。
リードを引っ張るのもタイミングが遅れると、遅れた分を取り戻そうと小型犬に対してまるで鰹の一本釣りのように愛犬が宙に舞うほど力一杯引っ張る飼い主さんがいますが、これでは愛犬をただ痛めるだけです。闇雲に腕力だけで押さえ込もうとするのは絶対に避けなければなりません。
やたらと大声になったり、焦りから力づくになるのも、愛犬に言うことを聞かせるには飼い主さん自身が何をどうすべきか理解してないことが原因となります。

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訓練士さんのお手本を、顔の表情、声のトーン、指示のタイミング等々、1から10までコピーしてみてください。きっと愛犬は「今日は飼い主さんが何を言ってるか、はっきり分かるぅ!」と表情で返し、言うことを聞いてくれるでしょう。でも、それで気を緩めてはいけません。訓練士さんのするように「グッド!」と笑顔でほめて締めくくりましょうね。

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田邊弘子
日本大学卒業。動物病院での勤務を経て、現在ダイレクトワンの明るい相談窓口として活躍中。犬の食事やしつけに関して一般の人にわかりやすく伝えようとこのコーナーを担当することに。「みなさんと同じ目線でワンちゃんと楽しく暮らせる情報をお届けします」と意気込みを語る。

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