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ご近所獣医師田邊弘子のよもやま話 第16話 チームで働くドッグフード

「うちの子(愛犬)にできるだけのことをしてあげたい」愛犬家なら誰しもそう考えるものです。しかし、そのやり方を間違えると愛犬のためにならないばかりか、愛犬に不利益をなすことだってあるのです。

スーパーでばったり会った子どもの中学時代のママ友さんからこんな質問をされました、「うちの子、もうすぐ1歳になるんだけど、ドッグフードの他に何を足してあげればいいのかしら?」。それに対して、「その子の状態に合った総合栄養食を給与しているのであれば、その他に何か足す必要はないんですよ」とお話しました。その瞬間、彼女はちょっとガッカリした表情をしたように見えました。
話題は世間話に移り、あれやこれやと雑談に花が咲き、そろそろ話を切り上げようとしたとき、彼女から「馬肉がいいって聞くんだけど、どうして」と質問が。「それは、他の肉より低脂肪高たんぱくって言われているからじゃない」とそれまでの雑談の延長で答えたところ、「そっか、じゃあ馬肉を足してあげればいいのね」と彼女。あれあれ、話は振り出しに戻るのか…。

総合栄養食の意味を知る

総合栄養食とはどういういうものなのか、あまり理解されていないことをそのときも痛感しました。
では、総合栄養食とはいったいどういうものなのでしょうか。ペットフード公正取引協議会のホームページよりその説明を引用します。

犬が必要とする栄養基準を満たした、「毎日の主要な食事」として与えるためのフードです。新鮮な水と一緒に与えるだけで、健康を維持することができるように、理想的な栄養素がバランスよく調製されています。

また総合栄養食は各メーカーが勝手に作っているわけではなく、以下のような基準の下製造されています。

ペットフード公正取引協議会では、総合栄養食を証明する基準として、世界的に認められた小動物の栄養基準となっているAAFCC(全米飼料検査官協会)の分析試験による栄養基準、または給与試験プロトコールを採用しています。

総合栄養食は、あなたの大切な愛犬のために多くの研究者が地道な研究を重ねて作り上げたものと言っても過言ではないのです。

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例えて言うなら

総合栄養食に何かを足すということを、他に例えてみましょう。完璧なサッカーチームがあったとします。これを総合栄養食とします。すばらしいハンマー投げの選手がいます。これを前述の馬肉とします。サッカーチーム11人にさらにハンマー投げの選手を足すと12人になり、サッカーチームとしては人数が多過ぎます。(これは総合栄養食の給与量はそのままで更に馬肉を足した例となります。カロリーオーバーし、かつ栄養バランスが崩れています)
では誰かをひとり抜いてその代わりにハンマー投げの選手を入れたとします。ハンマー投げの選手としてどんなに優れていても、サッカーチームのなかで抜けた選手のポジションの役割を果たすのは不可能です。(これは総合栄養食の給与量を減らして、その分馬肉を足した例となります。カロリーは適正でも、栄養バランスは崩れています)
『いいもの』に『いいもの』を足しても『もっといいもの』とはならないのです。

手をかけるならフードではなく

総合栄養食は完璧なサッカーチームですので、ご自分の愛犬にあったチーム(総合栄養食)を選び適量を給与しさえすれば、あとはチームが完璧な仕事をしてくれます。チームを信頼せず、あれこれ足そうとすれば、「フロントの理解がないから、きちんとした仕事ができない」とチーム崩壊(栄養失調)に繋がります。
でも、飼い主さんは大切な愛犬に何かしてあげたいと思っていますよね。でしたら、フードに手をかけるのではなく、大切な愛犬に直接手をかけてあげましょう。皆さんちょっと苦手にされている歯磨きは愛犬に手をかけることの中で一番のお勧めです。口腔の衛生を保つことはフードに何か足すことより遥かに愛犬の健康増進に役立ちます。歯磨きなどのお手入れがすでに十分行き届いているなら、愛犬を撫でる時間をもっと増やしてあげるといいでしょう。愛犬は飼い主さんに触れられることでとても癒されるのです。

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ドッグフード(総合栄養食)は見た目が素っ気ないので、内容も寂しいように思われることが多々あるようですが、決してそんなことはありません。何を足そうかなどと思案して時間を無駄にせず、信頼できるフードに愛犬の食事のことは任せ、浮いた時間を愛犬のために使ってください。

田邊弘子
日本大学卒業。動物病院での勤務を経て、現在ダイレクトワンの明るい相談窓口として活躍中。犬の食事やしつけに関して一般の人にわかりやすく伝えようとこのコーナーを担当することに。「みなさんと同じ目線でワンちゃんと楽しく暮らせる情報をお届けします」と意気込みを語る。

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