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ご近所獣医師田邊弘子のよもやま話 第17話 愛犬が疎ましい!?

喜んで迎え入れたはずなのに、上手く関わることができない、そんな悩みを持つ飼い主さんがいます。

久しぶりに道でばったり出会ったママ友が1歳ぐらいと思しき若犬を連れていました。元気いっぱい、かわいい盛りのワンちゃんです。愛犬の話に水を向けてみました。さぞかし、愛犬のろけが聞けるものと思っていましたが、彼女の口から漏れてきたのはため息まじりの愚痴でした。
彼女曰く、「この子はわがまま」なのだとか。「仕事から帰ったばかりなのに、『かまって!かまって!』とまとわりついて来たり、いざ遊んであげようと思っても興奮しちゃって暴れまくるし…」
彼女(とその家族)が思い描いていた愛犬ライフと、実際に犬と暮らしてみた現実に隔たりがあったのかもしれませんが、そのツケを愛犬にだけ押し付けてはかわいそうです。

「ちょっと待って」はちょっと待って

例えば共稼ぎのご家庭などでは、夕方から夜にかけてご家族が帰宅されると思います。お母さんは家に帰ると取るものも取らず夕飯の支度を始め、お腹がペコペコの部活帰りのお子さんは手を洗うのもそこそこに食卓に直行し、残業を終えて帰宅したお父さんはまずは冷蔵庫のビールで喉を潤す、そんな帰宅後の慌ただしいなか、愛犬が『遊んでぇ』と近づいて来たとき、愛犬に対して「ちょっと待って」と言ってはいませんか。
その気持ち分からなくはないですが、愛犬は家族の帰りを1日中待っていたのです。もう十分すぎるほど『待って』いる愛犬に「ちょっと待って」と言うのはちょっと待ってください。

信頼関係を築くスキンシップ

一段落したらゆっくり遊んであげるからの「ちょっと待って」より、帰宅後まずは愛犬と触れ合ってみることをお試しください。飼い主さんに触れられることで愛犬はリラックスします。実は愛犬に触れることで飼い主さんもリラックスできるのです。このとき触れるだけでなく見つめ合うと更に効果的と言われています。『忙しいときに、かまってかまってってうるさいなぁ』、『ずーっと待ってたのになんでかまってくれないの』とお互いイライラしながら、まとまった時間ができるまで過ごすより、飼い主さんが時間の使い方を融通して愛犬と飼い主さんの心のイガイガを取るのではどちらが良いかは言うまでもないですよね。

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楽しい気分で愛犬に触れる

前述のように帰宅後すぐに愛犬をかまうと、愛犬の要求を聞いていることになり、わがままを助長すると思っている飼い主さんもいるようですが、限界を超えた我慢をさせることは決してしつけではありません。帰宅後、まっ先に愛犬と触れ合うことがわがままを許すようで抵抗があるようでしたら、『ふせ』なり『おすわり』なりをさせてから触れ合ってください。 触れ合い方ですが、頭でも胴でも、愛犬が触られるのを喜ぶ体の部分を触ってあげましょう。体毛の流れにそって手の平で撫でるのが基本となりますが、愛犬が喜ぶならコチョコチョ遊びでもいいでしょう。この時重要なのが、飼い主さんご自身も楽しい気持ちになること。嫌々では愛犬もうれしくありません。その楽しい気持ちが飼い主さんの愛犬への愛情を深めます。

基本は愛犬の身になって考える

飼い主さん家族の帰宅後の慌ただしい時間帯の話を例にとって説明しましたが、愛犬との関わり方が分からなくなってしまった時、対処の基本は愛犬の身になって考えてあげるということです。そして愛犬と関わる時大事なのは、飼い主さん自身が楽しい気持ちになること。冒頭のママ友も、そのように考えれば、「さあ遊ぼう」といったとき何故愛犬が興奮して暴れまくってしまうのか、ではどう対処していいか自ずと答えは出てくると思います。(解決のヒント→待たせ過ぎて愛犬が収拾がつかなくなってしまったわけですから、そこまで我慢させないように愛犬の我慢ができる範囲でかまってあげる)

犬の飼育は、コンピュータゲームのように自分の遊びたいときに電源を入れて遊びたいだけ遊び、飽きたら電源を切ってしまっておくというようにはいきません。犬は生きものですので、人間の都合にばかり合わせようとすると受け止め切れないストレスを感じてしまいます。愛犬の飼育に行き詰まりを感じたら、人の都合にばかり愛犬を合わせようとしていないか見直してみてください。愛犬のために都合をつけることが難しく思えたときは、愛犬を迎え入れた日の感動を思い出してください。愛犬のために人の都合を合わせることもきっとできるはずです。

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田邊弘子
日本大学卒業。動物病院での勤務を経て、現在ダイレクトワンの明るい相談窓口として活躍中。犬の食事やしつけに関して一般の人にわかりやすく伝えようとこのコーナーを担当することに。「みなさんと同じ目線でワンちゃんと楽しく暮らせる情報をお届けします」と意気込みを語る。

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