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ご近所獣医師田邊弘子のよもやま話 第18話 ドッグスポーツを楽しむには

ワンちゃんとドッグスポーツを楽しみたい(あるいはすでに楽しんでいる)飼い主さん、きっとたくさんいらっしゃることでしょう。

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我が家の飼い犬はボーダーコリーなので、よその方から「あ、ディスクをキャッチするワンコですね!」と言われることがよくありました。(今はもうおじいちゃん犬なので滅多に言われなくなりましたけど)ボーダーコリーはディスクドッグとして有名ですね。我が家のワンコにも若犬の頃ちょっとさせたことはあります。ディスクにも興味を持ってくれ、上手にキャッチできるようになりましたが、継続してさせることはしませんでした。

事実を目の当たりにして

なぜ、ディスクで遊ばせるのをやめてしまったのかというと、近所にディスクで遊べるドッグランがなかったということもありますが、うちのワンコにディスク遊びをさせていたちょうどその頃、当時働いていた動物病院に、ディスクで遊んでいてキャッチしたときの衝撃で奥歯を割ってしまったボーダーコリーが立て続けに2匹やって来たのが一番大きな理由です。
もちろん職業柄、それ以前からスポーツをさせることで犬が負傷するリスクが高くなることは十分認識していました。が、『確率の問題だし、気をつけていれば大丈夫』と、心の中で高を括っていた部分があったのも事実です。
自分がまさに自分の犬にさせようとしていたスポーツで負傷したワンちゃんを実際に目の当たりにして、初めて自分の犬にスポーツをさせることのメリットとデメリットについて考えたわけなんですね。ひとときの楽しみと、犬の一生涯のQOL(生活の質)を天秤にかけて、私は犬にディスク遊びをさせない選択をしました。

スポーツは諸刃の剣

スポーツというと「体にいいもの」というイメージがありますが、程度や頻度、指導者のレベルや指導の内容によってはケガや障害を負うリスクが大変高くなります。人の場合でも、プロスポーツの選手やオリンピック選手などがそのスポーツを原因とするケガのため競技を諦めざるをえなくなったり、児童・生徒がきちんとした指導がなされなかったために学校での体育の授業や部活動で半身不随や死亡にいたる事故が起きていることを、新聞やテレビのニュースで皆さん見聞きされたことがあると思います。
一方、犬についてはこのような話をあまり聞いたことがないという飼い主さんがほとんどではないでしょうか。でもそれは、犬においてこのようなスポーツによる負傷が起きていないということではなく、単に報道されない、情報が広まらない、だから聞いたことがないというだけのことなのです。

大切な事前判断

ドッグスポーツを始めようと思ったら、なんとなく始めてしまうのではなく、それをすることであなたの愛犬にどんなメリット・デメリットがあるのか飼い主さんがご自身できちんと確認しましょう。それを踏まえて、「させる」か「させない」かを決めます。飼い主さんがさせてみたいからと、「させる」ありきで判断しないように。愛犬にとってデメリットが大き過ぎるようなら、させないという選択のできる公平さを飼い主さんの心に必ず準備しておいてください。

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リスク回避の努力は必須

次に、させると決めたなら、リスクを回避するあるいはリスクを最小限に抑える努力や工夫をしましょう。難しそうですが、犬の身になって考えれば答えは出てきます。
例えば、手軽なスポーツの代表として飼い主さんのランニングに愛犬を付き合わせるということがあります。成長期の子犬を長時間走らせたりすると、関節や骨を痛めその後の成長に影響を及ぼしますので、成長段階に見合った速度や距離にする必要があります。春夏秋、飼い主さんにはそれほどでもない暑さでも、犬は暑さに弱いのでそのことに配慮しないとなりません。飼い主さんが誘えば、愛犬は辛くてもついてくるでしょう。でも、できることイコールさせていいことというわけではないのです。アジリティなども障害を飛び越えられるからと配慮もせずどんどんさせていると大きなケガの原因となってしまいます。
また万が一ケガをさせてしまった場合の対策(応急処置や連れて行ける動物病院のリストなど)は必ず用意しておきましょう。

スポーツをさせるには、愛犬の安全を確保できるそのスポーツに適した環境で、愛犬の体格や体力に見合った内容や程度を飼い主さんがしっかり確保してくださいね。愛犬も飼い主さんも健康で楽しく!

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田邊弘子
日本大学卒業。動物病院での勤務を経て、現在ダイレクトワンの明るい相談窓口として活躍中。犬の食事やしつけに関して一般の人にわかりやすく伝えようとこのコーナーを担当することに。「みなさんと同じ目線でワンちゃんと楽しく暮らせる情報をお届けします」と意気込みを語る。

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